幕末から大正にかけて流行ったおもちゃ絵「たてばんこ」ってどんなもの ?

 

 

「たてばんこ」を知っていますか?

 

立版古(たてばんこ)(または組上絵(くみあげえ)、起こし絵)は、江戸時代後期~大正時代にかけて流行し広く楽しまれた、「おもちゃ絵」と呼ばれるペーパークラフト。「おもちゃ絵」は、子どもの手遊びのために描かれた色鮮やかな錦絵(にしきえ)のことで、代表的なものに切り抜いたり、組み立てたりして楽しむ「立版古」があります。

「錦絵」とは多色刷りの木版画で「浮世絵」の技法のひとつ。色も鮮やかで美しいことから錦絵と呼ばれるようになったそうで、実は私たちが浮世絵だと思っている作品の多くが錦絵なんだそう。

立版古はその錦絵に描かれている絵柄を切り、立ち上げて立体的なミニチュア模型を作って遊びます。ちょっとしたジオラマが楽しめるわけです。

夏の風物詩「お盆の灯籠」として親しまれ、軒先にろうそくを灯して飾られたそうです。絵柄の多くは歌舞伎の芝居、舞台の場面、建物、風景などを模写したものだったようです。

 

下の画像は東京学芸大学附属図書館のWEBサイトで公開されている立版古の資料です。
画像をダウンロード・印刷し、作って遊ぶことができます。(作り方の解説もあります)

 

立版古/龍宮餝立燈籠(りゅうぐうかざりたてどうろう)

組み立て前

 

完成図
出典:おもちゃ絵・絵双六で遊ぼう① 組上絵(くみあげえ)・立版古(たてばんこ)/東京学芸大学附属図書館

 

実際に作ってみました。

 

基本、絵柄に沿って切り取り90度起こしているだけです。一部ばらけてしまい少々てこずりましたが、なかなか楽しめました。
工作していると物珍しさからスタッフから次々と声を掛けられ、何度も何度も同じ説明をするはめに…笑

 

 

こいつは現代の立版古?!なのでは…

弊社が開発した「立体クリアジオラマ」は、絵柄が印刷された1枚の透明シートからパーツを切り離し、組み立てるとミニチュアのジオラマが完成。飾って奥行きや立体感を楽しむグッズです。2次元の絵や画像を前景、中景、後景といった具合にすき間をあけて並べることで疑似的に立体感を演出します。

 

立体クリアジオラマ

 

立版古と違うのは材料。立体クリアジオラマは紙ではなく透明プラスチック製です。紙とは違い背景(印刷のない部分)が透けて見えるので、絵柄に沿って切りぬく必要がなく手間がかかりません。材料は背景がよく透けるよう透明度の高い高透明タイプの硬質PVCを使用します。
既成の抜型が使えるので、絵柄に合わせ専用の抜型を作る必要がないのもメリットになります。

 

組み立て前は1枚のシート

 

パーツを切り取って組み立てる

 

階層になっているので立体的に見える

 

オリジナルデザイン可能な専用台紙が付きます

 

 

どうですか?材料の違いはあれど、仕組みや楽しみ方はそっくりな立体クリアジオラマは現代の立版古といってもよいかと…。
実用新案権の登録も無事完了し魅力がさらにパワーアップ。今人気の推し活グッズにもおすすめです。

今回は、伝統的なおもちゃ絵「立版古」と、弊社オリジナル現代の立版古「立体クリアジオラマ」を紹介しました。私は立体クリアジオラマが製品化される過程で「立版古」を知りましたが、こうしてグッズ作りを通じて、日本の文化や歴史に触れ、当時の人々の暮らしに思いを巡らせたりするのも、たまにはいいものだなぁと思いました。

→→ 立体クリアジオラマの詳細はこちら

 

 

参考文献

おもちゃ絵・絵双六で遊ぼう① 組上絵(くみあげえ)・立版古(たてばんこ)/東京学芸大学附属図書館
立版古・たてばんこ/OnetoSixteen(福永紙工株式会社)