主要なプラスチックの種類とその特長・用途まとめ&見分け方も

 

ポリ袋をビニール袋と呼ぶのはなぜ?

普段使っている透明な袋、何て呼んでますか?
「ビニール袋」ではないですか?
「ポリ袋」ともいいますが、ビニール袋が大多数のように思うのですがどうでしょう。

実は透明な袋には「ビニール袋」と「ポリ袋」の両方があり、どちらも無色透明で同じように見えても、それぞれ種類の違うプラスチックが使われています。
特性も質感も違うわけですが、普段の生活ではあまり意識されることはなく、透明な袋=ビニール袋と呼ぶことが多いと思います。

 

透明な袋 = ビニール袋 が定着している理由とは?

日本ではむかし塩化ビニール(ポリ塩化ビニル=塩ビ)製の透明袋が日常的に使われていました。しかし次第に環境問題が意識されるようになると、ゴミとして焼却する際に有害なダイオキシンが発生するとの懸念が広まり、徐々に環境負荷の少ない素材に置き換わっていきました。

それが「ポリ袋」です。
塩ビにかわり焼却しても有害ガスの出ない「ポリエチレン」「ポリプロピレン」を使うのが主流になり、さらに近年ではバイオマスプラスチックなど、より環境負荷の少ないものがレジ袋などに使われるようになっています。
しかしすでに「ビニール袋」という名称が広く定着していたため、今もそのまま根強く呼ばれ続けているだけなんだそうです。

 

このように日ごろ何気なく使っているプラスチック製品ですが、その種類や特長について、意外と知らないことも多いのではないでしょうか?
スーパーのレジ袋から自動車部品、スマートフォンのケースなど、プラスチックは様々な形で使われています。しかし一口にプラスチックといっても、その種類は多岐にわたり特性や用途も大きく異なります。

 

 

代表的なプラスチックの種類と特長

私たちの身の回りには約30種のプラスチックがありますが、その中で生産量の多い順に「ポリプロピレン」「ポリエチレン」「ポリスチレン」「ポリ塩化ビニル」の4種類を「4大汎用プラスチック」と呼びます。

■4大汎用プラスチックとその他の主要なプラスチックの比較

プラスチック名 特長主な用途耐熱性リサイクル性
PP(ポリプロピレン)軽量・耐熱食品容器、クリアファイル
PE(ポリエチレン)柔軟・耐薬品性レジ袋、フィルム
PS(ポリスチレン)軽量・成形性◎容器、発泡スチロール
PVC(塩ビ)耐水・加工性◎配管、床材
PET透明・軽量ペットボトル、衣類
ABS衝撃に強い家電、玩具

 

 

各プラスチックの特長と用途

 

ポリプロピレン(PP)

日本で一番生産量が多いプラスチック。熱に強くて丈夫なため、電子レンジ対応の容器や車の内装部品などに使われている。またサイクルが比較的容易であることから環境面でも注目されている。

特 長:耐熱性・耐薬品性に優れ軽量
用途例:食品容器・自動車部品・医療器具、クリアファイルなど

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ポリエチレン(PE)

ポリプロピレンと並ぶ最も身近なプラスチックのひとつ。軽くて柔らかく耐水性が高いため、食品包装などに多用されている。高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)に分類され、HDPEはより硬く耐久性が高いのが特長。

特長:柔らかく、薬品や水に強い
用途例:レジ袋・食品フィルム・洗剤ボトルなど

 

ポリスチレン(PS)

ポリスチレンは硬くて軽く成形しやすいため、使い捨ての食品容器によく使われている。発泡させたものは「発泡スチロール」として、断熱材や梱包材としてもおなじみ。

特 長:成形しやすく、軽い
用途例:食品トレイ・カップ麺容器・発泡スチロール

 

ポリ塩化ビニル(PVC)

硬質と軟質の両方の形態があり、使い方の幅が広いのがPVCの魅力。住宅設備から衣類、医療チューブに至るまで、用途は多岐にわたる。添加剤の調整によって柔らかさや透明性を調整できるのもポイント。

特 長:高い耐久性と加工性(硬質と軟質の両方あり)
用途例:水道管・床材・窓枠・カード類

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ポリエチレンテレフタレート(PET)

PETといえばペットボトルの材料としてよく知られているが、実は衣料用のポリエステル繊維にも使われている。透明性と軽さ、さらにリサイクルしやすい点も利点。

特 長:透明性が高く、軽くて丈夫
用途例:飲料ボトル・食品トレイ・ポリエステル繊維(衣類)
豆知識:衣類の「ポリエステル」はPETからできている

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ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)

ABS樹脂は、強度・美観・加工性のバランスが良く、見た目も美しいため、家電製品や玩具などに広く使われている。強度が必要な用途に最適。

特 長:衝撃に強く、高級感のある仕上がりが可能
用途例:家電の外装・レゴブロック・自動車の内装

 

 

どれも同じように見える透明素材。見分ける方法はないのか?

「透明な袋=ビニール袋」が根強いその他の理由として、「見分けがつかない」ことが考えられます。
プラスチックは見た目や質感が似ているものが多いため、なかなか見分けがつきません。
簡単に見分ける方法はないの?…と思うところですが、実は簡単な方法である程度は見分けることができます。

見分ける方法は次の3つ。
あくまでも標準的な特性に基づいての比較です。

①透明度で見分ける

特長プラスチックの種類
無色に近く透明なもの アクリル樹脂、ポリスチレン、PET樹脂、ポリカーボネート、AS樹脂など
半透明で乳白色ポリエチレン、ポリプロピレンなど
不透明なものABS樹脂など



②曲げてみる

特長プラスチックの種類
曲げると割れるものアクリル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂
曲げると白っぽくなるもの硬質塩ビ、ABS樹脂
柔らかく曲げても色が変わらないものポリエチレン、ポリプロピレン、軟質塩ビ

 

③水につけてみる

特長プラスチックの種類
水につけると浮くものポリエチレン、ポリプロピレン
水につけると沈むものポリスチレン、塩ビ(軟質・硬質)、PET樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、その他

 

出典:プラスチックの見分け方/一般社団法人プラスチック循環利用協会:プラスチックのはてな
https://www.pwmi.jp/library/library-110/

 

簡易的な見分け方なので、すべての種類のプラスチックをこれらの方法により見分けることはできませんが、ざっくりと覚えておくと役立つかもしれません。

 

プラスチックは、その特性によって用途が大きく変わる非常に多機能な素材です。
だからこそ、その特徴を理解し、適切に選び、そして可能な限りリサイクルや再利用を心がけることが求められます。さらに私たち一人ひとりが、プラスチックとの上手な付き合い方を考えていくことが、持続可能な社会への一歩になるのではないでしょうか。

 

プラスチックについては過去の投稿でも取り上げています。
よかったらこちらもどうぞ。

>>>同じように見えても違う。リサイクルのためにも知っておきたいプラスチックの種類とは?

>>>ビニール素材 (PVC) が環境に悪いって昔の話? 安全性は?? 調べてみると意外な結果に‥

 


参考にさせていただいたWEBサイト

一般社団法人プラスチック循環利用協会/プラスチックのはてな プラスチックの種類
https://www.pwmi.jp/library/library-104/

プラスチック容器包装リサイクル推進協議会/容器包装とプラスチックの種類
https://www.pprc.gr.jp/study/plastic/plastic03.html