捨てたクリアファイルその後どうなる?プラゴミのリサイクルについて調べてわかったこと。

 

脱プラスチックの動きが広まり、環境負荷の少ない材料を使ってクリアファイルを作りたいとのお問い合わせが増えています。
クリアファイルに使えるエコ素材は、廃プラスチックをリサイクルしたり、植物由来バイオマスを混ぜるなど、新たな石油の使用を抑え、限りある資源の保全に貢献できるのが特長です。そして、プラスチックにかわる材料として紙のクリアファイルまで登場しています。
しかし、材料に高い関心があるいっぽうで、廃棄されたクリアファイルがその後どうなるのか、あまり知られていないのではないでしょうか? 

 


プラスチックから紙への置き換えが進んだが…

プラスチックから紙に置き換わったものとしてまず頭に浮かぶのがストローです。

2022年プラスチック資源循環法の施行により使い捨てプラスチックの取り扱いルールが変わり、プラスチック製のストローを紙製に切り換える飲食店が相次ぎました。

しかし紙は水に弱いため、長時間の使用には耐えられずSNSでは「ふやけてしまう」「紙の味がして不味くなる」など不満の投稿が相次いだため、プラスチック製に戻したり、フタの提供をやめたり、直に飲めるプラスチック製のフタに変更してストロー自体をなくすお店も出てきているようです。
環境への対応を優先するあまり、機能性や使い心地まで犠牲にしてしまっては本末転倒ですし、逆に企業イメージを損ねるリスクもあります。

クリアファイルにおいても、材料に紙を使えばプラスチックの使用を大幅に削減できる反面、耐久性に劣り繰り返しの使用に向いていないため、たちまちゴミになってしまうことも考えられます。ゴミが環境へ与える影響を考える時、「海を守るためにプラスチックを減らす」という風潮だけにとらわれることなく、プラスチックの原料から使用、廃棄処理またはリサイクルまでのライフサイクル全体でとらえていくことが必要です。

 

製品のライフサイクル全体で発生する環境負荷を考える(ライフサイクルアセスメント)

出典:「プラスチックとリサイクル 8つのはてな」一般社団法人プラスチック循環利用協会 より抜粋
https://www.pwmi.or.jp/new_data-pamphlet.php

 

 

衝撃的なウミガメ動画で刷り込まれた「プラゴミ=海洋ゴミ」

海洋プラスチック問題から始まった脱プラ。あのストローが鼻に刺さったウミガメの映像が強烈な印象だったため、「プラスチックゴミを削減して海を守る」という動きが一気に定着しました。
しかし、海に流れ出るプラスチックゴミの多くは正しく処理されなかったゴミ。たとえばポイ捨てされたゴミなどです。
ゴミの分別・回収、処理の仕組みが整っている日本では、ゴミ箱に正しく捨てられてさえいれば海に流れ出ることはないので、プラスチックゴミの削減が海を守ることに直接つながらないという見方もあります。

 

そもそもプラゴミはリサイクルされている

廃プラスチックのほとんどはリサイクルされています。
おそらく多くの人が、リサイクルマークのある容器包装プラスチックはプラスチックゴミとしてリサイクルされ、その他の製品プラスチックは可燃ゴミとして焼却処分されていると認識しているのではないでしょうか?

一般社団法人プラスチック循環利用協会のWEBサイトを見てみると、可燃ゴミが「サーマルリサイクル」という手法で熱エネルギーなどにリサイクルされていることが図解入りでわかりやすく解説されています。

 

出典:「プラスチックとリサイクル 8つのはてな」一般社団法人プラスチック循環利用協会 より抜粋
https://www.pwmi.or.jp/new_data-pamphlet.php

 

出典:「プラスチックとリサイクル 8つのはてな」一般社団法人プラスチック循環利用協会 より抜粋
https://www.pwmi.or.jp/new_data-pamphlet.php

 

 

以前プラスチックゴミは多くの自治体で不燃ゴミとして回収、埋め立てに使用され環境汚染が問題視されていましたが、現在は可燃ゴミとして集められ熱回収できるようになっています。その他のマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルを合わせた廃プラスチックの有効利用率は87%(2022年プラスチック循環利用協会)で正しく回収されたプラスチックゴミのほとんどが有効利用されています。

ムダなプラスチックゴミを減らすことは大前提として、まずは私たちが捨てたプラスチックゴミがどのように処理されているのかを知ることは環境保全に不可欠ではないでしょうか。

 

出典:「プラスチックリサイクルの基礎知識2023」一般社団法人プラスチック循環利用協会 より抜粋
https://www.pwmi.or.jp/new_data-pamphlet.php

 

出典:「プラスチックとリサイクル 8つのはてな」一般社団法人プラスチック循環利用協会 より抜粋
https://www.pwmi.or.jp/new_data-pamphlet.php

 

 

焼却して熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルの発熱量の比較。
プラスチック(なかでもPPやPE)は燃料並みの発熱量なので効率よくリサイクルできるほか、石炭のかわりに廃プラスチックを燃やすと、排出されるCO2が少なくなるそうです。

 

出典:「プラスチックとリサイクル 20のはてな」一般社団法人プラスチック循環利用協会 より抜粋
https://www.pwmi.jp/plastics-recycle20091119/future2/

 

 

廃クリアファイルの分別ルールが変わる?

クリアファイルの多くはプラスチック製なので、現在多くの自治体ではプラスチックゴミではなく可燃ゴミとして取り扱われています。燃やせるゴミとして回収され多くが焼却されます。いっぽうで、2022年4月に新たに施行されたプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)によりプラスチックゴミの分別ルールが変わり、クリアファイルを資源プラスチックとして回収する自治体も出始めているようです。
資源プラスチックとは、以前から回収されていたプラマーク付きの容器包装類に、新たに加えられたプラスチックだけでできた製品のことで、PP製のクリアファイルやタッパー容器、洗面器など多くのプラスチック製品が含まれます。
ただし、プラスチック以外が含まれていると資源プラスチックに分別できないので、バイオマスプラスチックを使ったクリアファイルなどは従来どおり可燃ゴミとして出すことになります。

 

クリアファイルに紙を使うのは本当にエコなのか?

脱プラスチックの観点から、プラスチックをまったく使わない紙のクリアファイルが登場しました。ストローを紙で作るのと同じ発想だと思いますが、紙にするとエコのイメージが強いのは確か。
プラスチック削減の取り組みをアピールし、イメージアップにつなげるには紙を選ぶのが一番かもしれません。しかし、実用面では紙ゆえにプラスチックにくらべ「水濡れ」に弱く「耐久性」に劣るほか、透過性がほとんどないので中身が見えにくく不便な面もあります。紙だから安価に製作できると思われてしまうのも難点。
なかには透けて中身が見える紙のファイルも存在しますが、個人的にはプラスチックのクリアファイルと同じ機能性を求めるよりも、紙ならではの風合いや手触り、筆記性などを活かして差別化していくほうがより価値が高まるのではないかと思います。
逆にプラスチックのクリアファイルは耐久性に優れ長く使えるのがメリット。広告物としても捨てられにくく訴求効果が長期間持続するなど、結果的にリデュース(ゴミを減らすこと)につながります。

 

環境負荷を軽減できて耐久性に優れるエコ素材を選ぶ

クリアファイルが本来持つ機能性、耐久性などを落とすことなく環境負荷を軽減できる代替素材として、注目されているのが環境配慮型プラスチックです。たとえば廃棄されたプラスチックを再利用したり、原料の一部に石油由来ではない有機物または無機物を使い、その分の石油由来のバージン樹脂の使用を少なくできるのが特長。紙のように完璧な脱プラにはならないものの、PPクリアファイルに近い使い心地で無理なく減プラができます。

 


次にクリアファイルにおすすめかつ実績のある環境配慮型プラスチックを5つ紹介します。
クリアファイルにおすすめ!エコ素材5選

再生PP
シートを生産する過程で生じた端材や生産ロスなどを再利用してつくられた再生率100%のPPシート。
石油由来のバージン樹脂を使用しないため石油資源の保全に貢献できる。
関連商品:「再生PP高透明クリアファイル」 ※エコマーク表示可能、グリーン購入法適合



再生PET
シートを生産する過程で生じた端材や生産ロスなどを再利用してつくられた再生率70%のPETシート。
石油由来のバージン樹脂の使用を抑え石油資源の保全に貢献できる。
関連商品:「再生PETクリアファイル」 ※グリーン購入法適合


エコミクス
市場から回収したペットボトルキャップを再利用してつくられた再生材を25%以上含むPPシート。
石油由来のバージン樹脂の使用を抑え石油資源の保全に貢献できる。
関連商品:「エコミクスクリアファイル」 ※グリーン購入法適合


LIMEX
PPと炭酸カルシウム(石灰石)を約50%の割合で合成した複合材料。
枯渇の心配がない石灰石を使うので自然環境への影響が少ない。
石油由来のバージン樹脂の使用を抑え石油資源の保全に貢献できる。
関連商品:「LIMEXクリアファイル」


ライスレジン
PPとバイオマス(廃棄米)を約20%の割合で合成したバイオマスプラスチック
石油由来のバージン樹脂の使用を抑え石油資源の保全に貢献できる。
原料のお米が成長段階でCO2を吸収しているため、ゴミとして焼却する際に排出されるCO2が相殺され、プラスマイナスゼロとなるカーボンニュートラルに相当する。
関連商品:「ライスレジンクリアファイル」 ※バイオマスマーク表示可能


 

本稿ではプラスチックゴミのリサイクルについて取り上げました。
可燃ゴミとして出されたプラゴミはただ焼却されるだけでなく、熱エネルギーとして有効利用されています。
世界的に観れば、燃やして熱回収するサーマルリサイクルを、CO2を排出するためリサイクルとしてみとめていない国もあるようですが、廃プラスチックを燃やすと石油を燃やすのと同じくらい、効率よく熱エネルギーを回収できるメリットがあります。
そのようなことから、実用性を損なくことなく減プラできる環境配慮型プラスチックをクリアファイルに使うのはまさに理にかなっているのではないでしょうか。

 

エコクリアファイルの詳細はこちら


https://www.sanprilab.jp/eco_clearfile_series/