クリアスタンド~人気のアクリルスタンドとの違いとメリット

 

アクリルスタンド(アクスタ)はアニメやアイドルなどの肖像をフィギュアのように飾って楽しむことができる、推し活グッズのなかでも定番の人気アイテム。材料のアクリル樹脂は厚さ3~5mmが主流で、ガラスと見間違えるほど透明度が高いのが特長です。

一方アクリルではなく薄いPETを使う「クリアスタンド」をご存知でしょうか。アクリルと同じくらい透明度が高い0.5mm厚のPETを使用したスタンド型のアイテムです。飾って楽しむという使い方こそ同じですが、3mmのアクリルに比べ1/6の厚みしかないので、厚みのあるアクリルスタンドと比較して上質感に劣るのは否めませんが、薄さゆえのメリットがあります。

本稿では、クリアスタンドと同じ絵柄のアクリルスタンドを比較しながら、PET製のクリアスタンドの魅力を紹介したいと思います。

 

 

アクリルスタンド

材料:アクリル
アクリルスタンドに使用されるアクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル(英語名:ポリメチルメタクリレート)=PMMA)は、プラスチックのなかでも屈指の透明度が特長。透過率(光線が通り抜ける割合)は93%とガラスを凌ぐほどの高さです。そのため水槽や光学レンズなど、ガラスの代替品として多くの製品に使用されています。またガラスにくらべ衝撃に強く、丈夫でありながら加工しやすくアクリルスタンドなどのグッズとの相性もバツグンです。
その一方、ガラスほどの表面硬度はないため(ガラスにくらべ)傷がつきやすく、熱に弱いので注意が必要です。
とは言え、それでも多くの透明プラスチックのなかで硬く傷がつきにくいという優れた特性を持ちます。

●ある程度の厚みが必要
アクリルスタンドには一般的に3mmのアクリル樹脂が使用されます。これより薄いものはあまり見かけません。理由として厚みがあるほうが見栄えがすることもありますが、台座に本体を差し込む構造なのである程度の厚みが必要なんだろうと思います。
また厚みが増すほど材料費や加工費など製造コストもかさむため、バランスのよい3mmが主流なんだそうです。

3mm厚のアクリルスタンド

台座に本体を差し込む構造なので相応の厚みが必要

 

●大量生産には向いていない
アクリルスタンドの印刷は一般的にインクジェットプリンターを使います。厚みが3mm以上もあるため、クリアファイル印刷などに使用するUVオフセット印刷機では印刷できません。インクジェットプリンターは大量生産に向かないため、オリジナル製作する場合は数個~数百個の小ロットが中心となります。

●オリジナル製作の相場は高め
例えば100平方cm程度のアクリルスタンドの製作費は1個あたり1,000円~500円(数量:30個~3,000個)、今回比較に使用した200平方cm程度だと1個あたり1,500円~700円(数量:30個~3,000個)となかなか高価です。

●数量が増えれば納期もそれなりに
アクリルスタンドはインクジェットプリンターを使って印刷し、レーザー加工機で切り抜きます。数個~数百個の製造に適した方法ですので、数量が数千個にもなると相応の製造日数がかかります。

 

 

クリアスタンド

材料:PET
PET(ポリエチレンテレフタレート)はペットボトルでお馴染みです。
飲料のボトルに使用される理由のひとつに衝撃に強いことがあげられます。アクリルの約3倍~5倍の強度があり、柔らかく粘りがあるので薄いフィルム状でも、パキッと割れることなく折り曲げも容易です。一方で柔らかさゆえにキズが入りやすく取り扱いには注意が必要になります。
PETは透明度が高いのも特長で、透過率はアクリルに迫る86%(アクリル=93%)です。

●柔らかく粘りがある
PETはアクリルに比べれば柔らかく粘りがあるので、割れることなくぐにゃっと折れ曲がるイメージです。そのためPET製の「クリアスタンド」は、アクリル製のアクリルスタンドのように台座を別パーツにする必要がなく、台座部分を折り曲げるだけという手軽さです。

●大ロットでも対応可能
0.5mm厚のPETを使う「クリアスタンド」の印刷は、クリアファイル印刷と同じUVオフセット印刷機を使います。そのため数千、数万といったロットでも難なく印刷可能です。

 

0.5mm厚のクリアスタンド

台座に差し込む必要はなく折り曲げるだけで自立する

 

●1,000個を超えると価格差が大きく
PET製クリアスタンドの価格は、300個付近ではアクリルスタンドの価格相場と大きな差はないものの、1,000個を超えると価格差がかなり開きます。あるサイトでは1,000個発注で1個あたり700円(200平方cm相当)ですが、クリアスタンドの場合1個あたり190円で製作可能です。
※価格は2024年12月20日現在

●短納期にも対応可能です
アクリルスタンドの場合、例えば3,000個にもなると最短でも1か月ほどの製作日数がかかるようですが、PETで作るクリアスタンドの場合は約2週間で納品可能です。

 

クリアスタンドは台座とつながっている(左/アクリルスタンド、右/クリアスタンド)

 

厚みのあるアクリルスタンドはよりしっかりとした物に見える

 

厚みの比較(3mmと0.5mm)

 

裏面を撮影。白の印刷が濃いアクリルスタンド(左)は絵柄が透けにくい

 

 

PET製クリアスタンドのメリット

数量、納期、コストの他にもPET製クリアスタンドならではのメリットがあります。
0.5mmの厚みです。

アクリルのように3~5mmの厚みがあると少々かさばりますが、0.5mmの薄さだとたとえば雑誌やコミックの付録にしたり、会員特典として郵送するといったシーンで重宝されるのではないでしょうか。
実際に展示会の会場でこのようなメリットを来場者様にお話したところ、納得される方が多数いらっしゃいました。

アクリルスタンドは3mmの厚みなので、大量生産可能なオフセット印刷機では印刷することができません。そのため、小ロット向きのプリンター等を使う必要があり、数量が数千個にもなると相応の納期がかかります。
さらに印刷コストにも大きな差が出ます。オフセット印刷では1,000個を超える大ロットの場合でもスピーディーに印刷できるため、コストを抑えることができますが、インクジェットプリンターの場合はそうはいきません。

ぱっと見は厚みの違いだけのように見えるアクリルスタンドとクリアスタンドですが、材料の違いに加え印刷方式の違いにより価格や納期にも大きな差が出ます。アクリルスタンドをまとまった数量かつ限られた予算内で製作したい時は、PET製のクリアスタンドがおすすめです。

 


クリアスタンド

サイズ:210mm × 85mm
材料:PET 0.5mm厚

クリアスタンドの詳細は こちら

 


参考:
SpecialChem S.A./Comprehensive Guide on Polymethyl methacrylate (PMMA or Acrylic)
SpecialChem S.A./Comprehensive Guide on Polyethylene Terephthalate (PET)